【自閉症】子どもが口に手を入れても大丈夫! 気持ちを落ち着かせるには必要なこと
「うちの子は気がつくと、口に手を入れているんだけど大丈夫かしら?」
「止めさせてもすぐに口に手を入れるんだけど……」
自閉症の子を持つ親御さんは、いつになったら口に手を入れるのをやめるのか、それともずっと続くのか、止めさせた方がいいのか、それとも止めさせない方が……
どうしらいいのか分からずに、心配の日々をお過ごしだと思います。
私が障害者施設での20年間、働いてきた経験から言わせていただくと、口に手を入れるという行為は問題ないです。
なぜ大丈夫なのか? その理由を経験と理論から書いてみます。
目次
- 口の中に手を入れることはよくあること
- どうして口の中に手を入れるの?
- 無理に止めさせるのはダメ!さらに違う行為に発展する可能性も
- 本人やあなたが気にならないならそのままで
口の中に手を入れることはよくあること
エッそうなんですか? と驚かれたと思いますが、嘘ではなくよくあることなんです。私は20年の間、障害者の支援にたずさわってきましたが、口に手を入れている利用者さんは障害者施設にいました。
場面でいえば、食事前や余暇の時間に口に手を入れては出すを繰り返していることが多くみられました。
自閉症の方は、みんな口の中に手を入れるの?
全員ではないですが、口の中に手を入れる方は多いです。その中でも、どちらかといえば、あまり言語がない方に多くみられる傾向にあります。
どうして口の中に手を入れるの?
細々とした理由(少しでも手が汚れると舐めるなど)を考えれば、色々とありますが、大きく分けると2つです。
1つ目は、お腹が空いているです。食事前になると、空腹の状態を和らげようと無意識に口の中に手を入れて、感覚的に空腹を満たそうとしている状態です。しかし、当然ながら空腹感が埋まらずに何度も繰り返してしまう場合があります。
2つ目は、退行現象によるものです。
大まかに説明すると、何かショックな出来事に遭遇した時に、不安になり発達段階が一時的に前の段階に戻ってしまうことを言います。
口の中に手を入れる行為との関係は?
自閉症の利用者さんにとって、ショックな出来事、不安なことがあると、一時的にそのものを解消しようと、口唇期といわれる段階に戻り口の中に手を入れるのです。
無理に止めさせるのはダメ! さらに違う行為に発展する可能性も
止めさせてはいけないの? と思った方は多いはず。
どちらかというと、止めない方がいいというのが正解でしょうか。
私の経験上、口の中に手を入れることは汚い、不衛生だからと口の中に手を入れる度にすぐに止めてもらうということを繰り返すうちに「良かった、手を入れなくなった」と喜んだのもつかの間、しばらくしてから抜毛や便いじりなどの問題行動に発展するケースがみられました。
だれもが皆そうなるとは限りませんが、無理に止めていい結果になったというケースがほぼなかったというのが本音です。
本人とあなたが気にならないのならないのならそのままで
口の中に手を入れるのことで、手が荒れてしまう。
他者の反応を見ながらニヤニヤしながら、面白がって行っている。
これらの場合は、医療的や相手をして欲しいという注目行動から行っているものなので、止めさせた方がいいと思います。
そうでない場合、気持ちを落ち着かせようと無意識に口の中に手を入れている時です。汚いから嫌だ! 恥ずかしいから止めたい! との訴えがない限りは、止めた方がいいというよりは、むしろ見守ってあげた方が、言うまでもなく本人の心の安定に繋がります。
そして、あなたは、口の中に手を入れるという行為だけをみれば、よくないことかも知れませんが、辛い気持ちを落ち着かせようとしているんだ! と理解してあげることは、子どもが私のこと、僕のことを理解してくれてると信頼に繋がっていくと思います。